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2000年4月 の日記  

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2000/04/30 (日)
■このところのアクセスログを元に、いくつかのネタ。

うちのページは、「CREATIVE」という単語でヒットするらしく、サウンドカードのトラブルを何とかしたいお客様方が、結構な数、いらっしゃいます。
そういう方は、きっとトップページで回れ右して、正しいCreativeのページに飛んでいっていると思いますが、紛らわしくてすみません。
(と、言葉には表しているが、反省はしていない(笑))

たとえば、ソニーの方、株式会社ツムラの方、Creativeのページじゃなくてすみません(笑)

あと、どこから飛んできたのか不明ですが、マイクロソフトの方、面白いページじゃなくてすみません。というか、ドメインが com になっているので、うちの日本語を読めたのかどうか、大変不安です。
ブックマークしていただいているとすれば、こんなありがたいことはありません。
(これは、結構、素直にそう思っている)

続いて、日本メディアセントラル株式会社の方。名古屋の丸の内に、そんな会社があることは知りませんでしたが、これからもご贔屓ください。(名古屋近辺ってことは、知り合いの可能性が高いな…)

あと、STARCATでMIDIデータを求めてアクセスしてくれた方。うらやましいです。CATV。STARCATっていうと、128K? 512Kか? ああ、僕もCATVにしたい…。しようかなぁ。

というわけで、その他、ページをごらんの皆様方、よろしくお願いいたします。
なお、アクセスログの記録は、今回のような利用他、冷やかしにしか使いません。
(おいおい…)
というのは、冗談です。そこから元に個人を特定するようなことはしておりませんので、安心してご来場くださいませ。
努力せずして特定できてしまう場合は、この限りではありません。


2000/04/29 (土)
■やっと…GW

 うひーっ。やっとごぉるでんうぃーくだぁ!!(笑)
 ところで、NOXを買いました。
 NOXとは、Windows用の洋ゲーです。
 俯瞰型の、簡単に言えば、Diabloタイプ。

 僕は3D酔いする、三半規管がとてもデリケートな人なので(何言ってやがる…)、こういう俯瞰型のゲームはとってもいいですね。主観型は、げろげろです。
 で、どうして買ってしまったのかと言えば……。
 体験版がきっかけ。

 僕がやりたいと思っていた、マップ表示を、先にシステム化してしまったから。
 ああー。Diabloといい、NOXといい、どうして僕が考えていることを、先にやるかなぁ…。
 (そりゃ、単に、アンタが作ら(正しくは「れ」か(T-T)ないからでしょう…)

 そのシステムってのは、要するに、Ultimaの2D表示と同じわけだが…。
 2Dでありながら、主人公のいるところから、目視できないところは描画されないわけです。

 んで、体験版は、ネット対戦専用だったわけですが、そのゲームの実力を知るためにも、購入して徹底的にしゃぶってみようと思ったのです。

 ネット対戦は、3日もすると、飽きます。
 これは、ゲームそのものがRPGなのに、ネット対戦では、まったく別物のゲームになっているからです。
 それよりも興味深く、長い時間遊べるのが、シングルプレイモード。
 シナリオを追いかけながら遊ぶ、普通のRPGです。
 職業が、3種類から選べるのですが、その3種類ともに専用のシナリオ、クエストが用意されていて、一粒で3度おいしいです。マジで。

 もし、画面を見て、ビビっときたかたは、購入をお勧めします。
 良くできたゲームです。

参照 エレクトロニック・アーツ・スクウェア株式会社:
http://www.japan.ea.com


2000/04/28 (金)
■常識

「いらっしゃいませぇ〜。」
 店員ノゾミは、レジに買い物かごを載せた僕に、元気に挨拶をした。
 僕はコカコーラと、ペプシコーラをそれぞれ3本ずつかごに入れていた。
 彼女は、何も考えずに、まずコカコーラを1本手に取り、バーコードを機械に読みとらせた。
 その後、彼女は、レジのキー、6を叩いた…。
(あ…コカコーラと、ペプシコーラなのに…)
 僕は、そう思ったものの、値段は同じなので黙っていることにした。
 きっと、ここのPOSシステムは、いつもコーラの売り上げと在庫量の一致しない、不思議な店になっているのだろう…。管理者は大変である。
「882円になりますぅ〜」
 計算を終えた彼女は、満足そうに値段を読み上げる。
 僕は、財布から千円札を一枚取り出し、テーブルの上に置く。
 それを見た彼女は、千円札を手にすることなく
「千円、お預かりしますぅ〜」
(おいおい、お預かり、してねーじゃん!!)
 彼女は、きっと、この先何度も、大変な目に遭うに違いない。
 例えば、ここで、彼女がお釣りの用意に気を取られている隙に、僕がテーブル上の千円札を、さっと隠したらどうなるだろう?

「118円のお返しになりますぅ〜、ってあれ?」
 テーブルの上にあるはずの千円札は姿を消し、彼女は疑問に首を傾げる。
「あのぉ、千円札はどこに行ったんでしょうかぁ〜」
 お客である僕は、彼女の仕草を見て、声を大にして怒る。
「さっき、あなたに渡したでしょう!」
 千円札は、僕の手の中にあるが、彼女は確かに『お預かりした』と言ったのだ。
 ふふふ。
「さぁ、早くお釣りをください。」
「あうぅ〜」
 千円札の消失にとまどいながら、あたふたとする彼女に、僕は大満足である。

 とまぁ、こんな事も、ありえるだろう。
 お預かりと言った場合、お客さんの手元から、そのお金を本当にお預かりするのは、普通のレジ打ちなら、研修で勉強するはずだ。(それをやってないところも多いだろうが)

 そして、僕は、コーラ6本と、118円を、自分のお金を失うことなく手に入れたのである。コレが満足せずにいられるであろうか!?
 わっはっは!!
(って、やってないぞ! 俺は、やってない!)
 そんなわけで、お金を扱うアルバイトをしている人は、注意した方がよかろう。

(分かっているとは思いますが、実際に行動に移さないように。犯罪ですよ。それに、カメラがじっと監視していますよ)


2000/04/27 (木)
■感情移入できない、他人の仕草

 感情移入できない他人の仕草というのは、僕にとって、腹立たしさに繋がることがある。
 例えば……Beatmania 2DX 3rd Style(って、ゲームの話しかい!)をやっている人を見ていると、いろんな人がいる。
 
 中には、足を大きく開いて、腰の高さを落としている人がいる。
 背の高い人であれば、分かる。
 自ら腰を落とすことで、最適なポジションになるようにするには、最も手っ取り早い手段だと、僕も思う。
 これについては問題はない。

 しかし、「お前、なんで腰を落としてるの……」と思う人たちがいるが、アレを見ると「かっこわるぅ〜」と思う。そして、そう言う人のプレイには、優雅さや、ゆとりといったものが感じられない。
 キーを力任せに叩く人が多いし…。

 そして、次に。
 何のミスもなく、GREAT判定が長く続いているのに、首を傾げるお前ら!!
 何について首を傾げているんだ…。
 やたら頻繁に首を傾げる彼を見ると、非常に、イライラする。
 カンペキにカンペキを求める性格なのか?
 それにしては、ずいぶんと下手だが…。
 そして、彼らにも優雅さはなく、非常にかっこわるい。
 ミスしたときに首を傾げるようにしなさい。

 とまぁ、どっちにしても他人のことだからいいんだけど…。
 そこで我が振りを見直す。
 他人に文句を言いつつも、自分も同じだったら駄目すぎである。
 き、気を付けないとにゃぁ…。


2000/04/26 (水)
■第16回

 僕は何もしゃべらなかった。彼女も、何も話さなかった。蒼い唇をふるわせながら、流れていく時を見守った。
 その沈黙を破ったのは彼女だった。
「わ、わかったわ。ジンバルロックが起きたのね? そうでしょ。うん。そうね。それなら全部説明が付くもの。」
 突拍子もない発言に、僕は
「はぁ??」
 と、答えるしかなかった。
「……やっぱり、ちがうか…」
「あのさぁ、ジンバルロックなんて、初めて宇宙に出た時代の宇宙船でしか起きないよ。今はクオータニオンで計算してるから、そんな事は起きない。それに、姿勢制御とこの温度低下はまるっきり関係ない。」
 僕は、彼女の無意味な発言に、説明のラッシュで応酬した。
 ジンバルロックは、旧世代の宇宙船で使われていた姿勢制御用の羅針盤の軸が、ある一定の角度になったときに不正な状態になってしまう事を言う。そうなると、宇宙船は自分の状態を把握できなくなり、姿勢を保つことが出来なくなる。これはオイラー角で姿勢を計算していたことに起因する問題で、現代の宇宙船においては気にしなくて良くなっている。
「そ、それくらい知ってるけど、イクトが何も言わないから……。」
「じゃあ、言うよ。ヒーターの電源を切ったのは、君じゃないのか? さっき、コンソールで調べたんだ。君の部屋のコンソールで、ヒーターの電源がOFFにされた。3日前だ。」
「……な、何言ってるの…。そんなこと、するわけないじゃない。私にだって、ヒーター切ったらどうなるかくらい、分かるわ。」
「じゃあ、誰なんだよ。ミサキの部屋に、ミサキの知らない間に自由に忍び込んで、ヒーターの電源をカットできるヤツって。この船には、お化けとか、死んだ人の魂とかがいるって言うのか!?」
 僕は思っていたことを一気にまくし立てた。
「そんなこと言ってないじゃない! 私は何もしてないし、原因は他にあるかもしれないでしょ! 例えばシステムの故障とか、そのログとかなんか、実は全部間違ったデータかもしれないでしょ! 何よ! なんでも私が悪いのね! あなたが今、こうしてここにいるのも私のせい。そりゃそうよね。私の船が故障しなかったら、あなたは今頃無事に目的地の惑星キューブに着いていたでしょうね。ああ、ごめんなさいね。私のせいでこんなへんぴなところまでバニシングワープさせちゃって!! だいたい、ヒーターのパワーカットがコンソールの標準画面で出来ることが設計上の欠陥なのよ! こんなボロ宇宙船で空を飛んでる人の気が知れないわ!」
 確かに、この宇宙船のコンソールパネルのインターフェースはひどいモノだ。だが、それを他人に言われると腹が立つ。
「なんだよ。なにか不満でもあるのか? だったらこの船から出てってくれ! 僕は君に頼まれたから君を助けただけだ。君が僕と僕の船を必要ないと思うんだったら、今すぐ出ていってくれてもかまわない。」
「な、なによっ! なによっ!!」
 僕の最後の一言に、ミサキは、目にいっぱいの涙を溜めたまま、僕の部屋を出ていった。
 しばらく僕は呆然としていた。
 彼女の涙を見たのは、これで2度目だ。さすがに言い過ぎた。

「……原因がなんであれ、とにかく復旧させないことには……」
 この状況で、僕らの先にあるのは、確実な"死"のみだ。
 それを避けるためにも、一刻も無駄に出来ない。とにかく、考えられるだけ考えて、出来る限り早く、ヒーターを再始動しなければならない。
「くそっ。何だか釈然としないなっ…。」
 そう言いながらも、コンソールのキーを叩き続ける僕は、全くと言っていいほど、冷静さを取り戻してはいなかった。
 こんな時が、一番ミスをしやすいのに、人間関係によって、ぎくしゃくしていく。
 最悪のパターンだった。


2000/04/25 (火)
■第15回

 エプロン事件の後、ミサキは自分の部屋でイクトについて考えていた。
「…一体、何を考えているのかしら…」
 今日のエプロンのことといい、実際には年上の人を年下扱いするいつものことといい、ミサキにはどうにも理解できない事だった。
 もちろん、ミサキ自身も、自分がイクトにどう思われているか、知る由もなかった。
「ああっ! もう、思い出しただけでもイライラしてくるわね…」
 膝に抱えていた枕を乱暴に投げつけ、簡易コントロールパネルにあたったそれは、重力コントロールの発生する1Gの重力によって、地球と変わらない加速度で床に落ちた。
「はぁ…。私、何が不満なのかしら」
 イクトはミサキにとって命の恩人であることは間違いない。その上、こうして宇宙の居候をさせてもらっている。これ以上の贅沢はないのは、ミサキも理解はしているつもりだった。
「これって、『分かっている』のと、『理解している』のでは、大きな差があるってことよね…」
 自分の命の恩人に対して、本当の自分をさらけ出すことに抵抗を始めていたミサキは、その違和感に、どういう態度に表せばいいのか分からない。
「…どんな顔をして会えばいいのかな…。」
 ベッドから立ち上がり、鏡の前に座る。そして鏡に映る自分の姿を上目遣いでにらみながら、いろいろな表情を作ってみる。
「…お、おはよう…。うーん、これじゃ怪しすぎるわね。」
 今度は、右手を挙げながら笑顔を作ってみる。
「…あ、おはよう。あはは…」
 引きつった笑顔に、自分が情けなくなる。
「はぁ……どうしちゃったのよ…。私らしくない…」
 頬をつまんで引っ張りながら、思い通りの顔にならない自分に疲れ、コントロールパネルの電源を切り、その近くに転がっている枕を拾って、ベッドに横になった。もちろん彼女は、自分の投げた枕によって、ヒーターの電源がOFFになっていることなど、知る由もなかった。
 それから2日が過ぎる。
 イクトと顔を会わせなくてすむように、室外に出る時間は最小限にとどめ、他の時間はベッドの上でぼんやりと天井を眺めて過ごした。
 ずっと横になっていたからか、体のあちこちが痛い。自分が病人になったのかと思うほど、体の自由がきかない。
「ふーっ。考えていても仕方がないわね…。イクトのところに行ってみようかな。」
 思い立ったらすぐ行動するのが彼女らしいところではある。ベッドから抜け出して、身なりを整える。
 不意に、異常に気が付く。寒い。単に寒いだけではない。凍えるような寒さだ。
 それもそのはず、室温は摂氏0度を下回っているのだ。
「もしかして、ヒーターを切ったのかしら…」
 コントロールパネルを立ち上げて、ヒーター設定を確認してみる。間違いなく、電力がカットされている。
 ミサキといえども、ヒーターの電源を切る危険性など、百も承知だ。人間が生きられなくなるだけでなく、宇宙船もまた、その宇宙船たる理由を失うことになる。
 イクトが何か名案を思いついたのかもしれないし、それとも緊急事態、トラブル、いろんな思考が頭をよぎる。ミサキは頭をよぎった否定的な意見をかき消すように、頭を振った。
「どっちにしても、この寒さはどうにかしないと…。」
 そして、彼女はイクトの部屋に向かった。
 イクトの部屋の前に到着すると、彼女は冷え込んだ空気を深呼吸して取り入れてから、扉をノックする。
 返事はない。ロックはされていないようだ。
「…あの、イクト、入るよ?」
 ドアが開くと、イクトはコントロールパネルの前で腕を組んでいた。真剣に、何かを考えているようだ。
 それを見て一瞬来ては行けないところに自分が来てしまったと躊躇したミサキだったが、底冷えする寒さに、用件を思い出した。
「ねぇ、ちょっと、寒くない?」
 一瞬の間の後、イクトは言った。
「その理由は、ミサキの方が良く知っているんじゃないのか?」
 ミサキには、彼の言いたい事の意味がよく分からなかった。疑問の色が、ありありと顔に浮かぶ。
「えっ……な、なに?」


2000/04/24 (月)
■AVIの再生…

 勉強に、AVIを再生してしまうプログラムを組んでいるのだが(WIN32APIベース(MCIWnd))、すっげー簡単、うはうはと思っていた。
 というのも、MCIを使っているからで、ヤツは、コマンドを送ってやれば、勝手に再生してくれるのぢゃ…。

 ところがだ。
 AVIの終了メッセージが飛んできたら、次のAVIファイルを開いて、どんどんと再生してみようと思ったところ、なんか切替のところでやたらと、もたもたするのね。
 直前のAVIの、最終フレームと、真っ黒なフレームと、次のAVIの最初のフレームがチカチカと切り替わった後で、ようやくAVIが再生されるのね。
 これって、MCIを使っている以上、仕方のないことなのかなぁ。んーー…。
 情報お持ちの方、情報求む!!
 情報を持っていない人は、調べて教えてください!
  →情報は掲示板にてお願いします(爆)
 あー、Video for Windowsでちまちま1フレームずつ展開しなきゃならんのかねぇ…。それとも、DirectShow??(笑) くはっ、そんなぁ(T-T


2000/04/23 (日)
■今日は日曜日

 今日は日曜日なので(笑)、ホームページのリニューアルでもしてみようかと思っていたのだが、なんだかんだと言いながらちっともリニューアルできなかった。
 もうすぐゴールデンウィークなので(笑)、その時に一気にリニューアルでもしようかなぁ。
 リニューアルする……というよりは、いったん白紙に返して、毎日少しずつ作り直していく…というほうが、僕向きではある。一気に作り直すのは、無理だ。飽きっぽいから。
 ということで、20000ヒットも近づいてきたし、そろそろ何かやんないとねぇ。


2000/04/22 (土)
■第14回

 チームワークの乱れは、ほんの些細なことから発展してしまう。
 今、その言葉の重みを痛感していると言っていい。
 この前のエプロン事件から3日が過ぎた今もなお、ミサキと僕の間に会話はない。
 ここまでくると、どちらが悪くてどちらに非があったのかなんてことは、意味をなさなくなってくる。
 ひたすらに、根比べである。例え自分が悪かったにせよ、それを認めて口に出したら負けである。意地を張って、とにかく口を聞かないようにするしかない。
「…………」
 おかげで退屈な宇宙生活は、さらに灰色になり、それはまさに一人で旅をしているのと何も変わらなかった。
 一人でいる時間が長ければ長いほど、人は独り言をよく言う。僕も例外ではなかった。
「しかし、夜はめちゃくちゃ不気味だなぁ…」
 この宇宙船は、生活する人の体内時計がずれないように、擬似的に昼と夜を造り出していた。まぁ、そんな大したことではなくて、純粋に昼の時間帯なら明るく、夜の時間帯なら、暗くなるようになっているだけだ。
 その演出が絶妙で、夜の時間帯になると新月に照らされたような、あたりが拡散された青白い闇になる。
「そう言えば、小学校の校舎に夜忍び込んで、非常灯しかついていなかったときみたいだなぁ…」
 誰しもが夜の学校に忍び込み、そのあまりにも不気味な雰囲気に恐れをなすという、あの感覚がよみがえってきた。
「なんて言ってないで、さっさと寝てしまおう…。怖すぎる。」
 はっきり言って、僕はこういう話が苦手だった。
「しかし、なんか、妙に寒いな…」
 宇宙船では、船内の気温を一定に保つため、常にヒーターに電源が入っている。いくら機密性の高い宇宙船とは言え、絶対零度に近い宇宙では、ヒーターなしに人が生活することは出来ない。加えて、ヒーターは、各種機械類の結露を防ぎ、メインコンピュータ、メインエンジンが正しく動作する温度で維持する役目も果たしている。
「も、もしかして、超常現象とか…??」
 にわかに信じがたい可能性を頭から排除するために、僕はヒーターの温度設定をあげる。
 各部屋に取り付けられたコンソールからヒーターの設定パネルを開き、数値を入力する。
 しかし、画面には『ヒーターメインパワー OFF』とむなしく表示されている。
「おいおい…。冗談だろ??」
 このヒーターは、人間が手動でOFFにするか、非常時にしかOFFにならない。何もさわっていないのにOFFになっているということは、どこかにマシントラブルがあったということになる。
 とりあえず、原因を探るためにエラーログを調べてみた。
 下から上に流れていくログに、適切なフィルターをかけて、関連する事柄だけを取り出す。
 ログには、3日前に、誰かが、手動でOFFにしたと表示されている。
 急激に室温が下がっていく中で、僕の背筋もまた、急激に凍っていった。
「まさか、ミサキが?」
 宇宙でヒーターの電源を落とす危険性を、彼女が知らないはずはない。
 凍え始めた手を擦りあわせて、コンソールを調べる。あきらかに、摂氏0度を下回っている。パネルがうっすらと白くなっている。
「このままだと結露する…」
 あわてて、僕はヒーターの電源をONにした。しかし、システムは反応しない。
「ねぇ、ちょっと、寒くない?」
 コンソールと格闘していた僕の後ろから、ミサキが声をかけてきた。僕の頭はミサキを正常に受け入れられなかった。
「その理由は、ミサキの方が良く知っているんじゃないのか?」
 ミサキの表情が曇った……気がしたのは、僕の思い過ごしだろうか。
「えっ……な、なに?」


2000/04/21 (金)
■プログラマ的思考

プログラマ的思考って何やねん…。
それは、ようするに、要求する事柄を、実現する手順を、正しく文書化するっちゅーことやね。

敵さんAは、弾を撃って、プレイヤーを狙撃します。

なんていう要求を、かみ砕くわけ。で、それは、実際にはどういう要求なのか、さらに細かく分析するのね。

敵さんAは、毎秒20ピクセルの速度で、右方向に動いていて、画面右端まで行ったら左端からでてきます。彼は、5秒おきに、垂直下方向に初速30ピクセル/秒で弾を放ちます。弾は、彼の移動速度と垂直方向への射出ベクトルの和を初速に持ち、空気抵抗を受けながら落下しますので、しばらく後には、彼からもらった横方向の移動エネルギーは失われます。落下には重力が影響し、画面8ドットを1メートルとして9.8m/s2で加速します。空気抵抗も受けますが、係数は適当に、決めましょう。

と、とりあえず、こんな風に文書化したあとは、実際にプログラム言語に落としていくわけである。プログラム言語に落とす(インプリメントする)よりも、その前の、この文書化の時点が大事なのだ。どういうデータを、どういうアルゴリズムで、どうやって処理するのかってところまで、文書化の時点で唸って考えるの。そういうのは、言語に関係なく流用できるから、BASICだろうがCだろうがPASCALだろうが、基本は同じなのだ。

っつーても、こんなものは「頭の中で」文書化するだけで、実際に書くわけではないのよ。いや、複雑な場合は書くこともあるけど…。
そこら辺の「イメージ」っつーのが、プログラマによって、てんでバラバラなわけで、そこら辺の脚色の差が、ゲーム演出の差になって出てくるわけで。

もしかしたら、他の人は「空気抵抗」や「重力」なんて、ハナッから考えないかもしれないし、ねぇ。そういう細かいところで、いかに遊べるかちうのも、ワクワクドキドキなのである。

ああ、文章になっていない……。

ぷろぐらまぁって、数学よりも、文章がきちんと書けないと、できない仕事だと、私は思うよ。そんなコトからして、理数系より、文系の仕事でしょ。
(ややウソ)


2000/04/20 (木)
■STL

 STLでもやってみるべ。
 MFCとか使っちゃうと、移植性を損なうし、あれだから、言語仕様に含まれているSTLなんていう便利そうな物を使うのは、将来的にあれだよね。有用だよね。
 んでも、横文字が分かりづらいべ。コンテナやらイテレータやら。なんやねん、それ…。

 そんな僕みたいにちゃらんぽらんな人は、こうやって置き換えるとグッと分かりやすくなる。
 コンテナは配列、イテレータはポインタ。
 いや、STL学習歴数時間の僕が言うことだからして、いい加減なコトを言っている可能性は否定できない。でも、乱暴に言ってしまえば、そう言うことなのである。

 ほほぅ。なるほど。見えてきたよ。STLが。
 その前に、ちゃんとC++やろうな。


2000/04/19 (水)
■戯言戯れ言

 ちゅうかさぁ、人の決定をなんだかんだと否定するのは、どうかとおもうのよ。
 何らかの判断基準に基づいて、特定の結論を得たのに、理由もなしに
「なに? なんでそんな…」
 と、あからさまに人を否定するように否定するのはね。
 その人が、自分ならそういう結論は導き出さないとうんちく垂れるのはかまわない。そういう理由もなしに否定されると、むかつく訳よ。
 アホちゃうか?
 って言われているのに等しい。

 そりゃ、おりゃ、あほじゃ!

 と、まぁ、そうなんだけどね、理由を聞かせなさいよ。君がそうやって僕を否定する理由を。何も君に認められたくて生きているわけじゃないからいいんだけどさ、それなりの理由があるんだろうね、チミ! まさか、自分の趣味だけで人の決定にケチを付ける気か!?
「俺的に気に入らないモノは排除」
 ってか?
「俺的に気に入らない趣味を持つモノは否定する」
 ってか!?

 世の中にはたくさんの人が、人それぞれに判断基準を持って生活していることを、しっかりと知るべきだよ。
 例えそれが気の知れあった友人だとしても!! だ。

 ええやん。僕がアニメにはまってても、そういうCDを大量に買っていても…。
(そんなオチか…)


2000/04/18 (火)
■第13回

 それからというもの、僕とミサキはなんだかんだとうまくやっていった。する事が何もない宇宙空間で、二人とも気が狂ってしまうこともなく、1週間がすぎた。もちろん、その1週間はひたすら長かった。テレビが映るわけでも、そのほかの世界と通信が繋がるわけでもない。本当に二人ぼっちの航行だったのだ。
 電力供給は、通常航行時と変わらず、システムの変更は何もしていなかった。生きることを放棄したわけではなく、むしろ、健康でありつづけるために、必要なことだったからだ。もともとこの宇宙船は、重力コントロールシステムをOFFにして動かせるような設計になっていない。だから、日常発生する塵や埃の処理をするのを忘れると、大変なことになる。積んである食料も、大半が重力下で食べるような普通のモノのため、重力がなくなった状態でそれを食べると、食べかすがあちこちに飛び散ってしまう。
 飛び散った食べかすがどうなるか……。考えるだけでぞっとする。宇宙船の空気中を漂ううちにカビが生え、それを僕らが呼吸の時に吸い込む……。これで病気にならない方がおかしいなんて、小学生にでも分かることだろう。
 だから、ミサキと二人で、電気系統のすべてのパワーは、通常通りに供給することにした。
「ねぇ、イクト。今日はカレーなんだけど、ニンジン食べられる?」
 ピンク色をしたフリル付きの、いかにも女の子向け(しかも低年齢向け)なエプロンを身にまとい、左手に包丁、右手にニンジンという出で立ちでミサキは現れた。
「いや、この宇宙船は元々僕のだし、僕の宇宙船に積んである食材で、僕が食べられないものはないけど?」
「そう言えばそうよね…。何聞いてるんだろ、私。」
 といいつつも彼女は首を傾げたまま、何か気になることがある様子だった。
「何? どうかしたの?」
「あのね、ちょっと気になるんだけど…。どうしてイクトの宇宙船に、こんなエプロンがあったのかなって…」
 エプロンのひらひらのところを手に持つ。
「うっ……そ、そう言えば、おかしいねぇ…」
 実はそのエプロンは僕の大のお気に入りで、料理するときには欠かせないアイテムだなんてことを言えるはずもなく…。
「ああ、分かったわ。イクトのお気に入りのエプロンなのね。料理するときには欠かせないアイテムとか。」
「な、何で分かったのっ!?……あっ」
 めちゃくちゃ白い目をしたミサキが、めちゃくちゃ突き刺さる視線を僕に投げた。
 それはまさに、『なにそれ、冗談のつもりだったのにまさか、本気なわけ? そのアンタのお気に入りのアイテムを私が付けていて、私はそんな好奇の目で見られていたわけ?』とでも言っているかのようだった。
「あっ、あの、決して僕は、ミサキの可愛いエプロン姿に欲情していたわけではなくて、ほら、そのタンクトップに付けたエプロンが妙に色っぽいなぁとか、そんなこと決して思ってな……あっ」
 どうやら、僕は墓穴を掘ってしまったようだ。言わなくてもいいことをべらべらと一方的にしゃべってしまったらしい。彼女のあきれていた目は閉じられ、こめかみに血管が浮き出てきそうな形相をしている…。『目は口ほどにものをいう』とはよく言ったものだ。
 と……言うのはさておき、包丁を持ってプルプルしている彼女を何とかしなければなるまい。サウスポーを怒らせると、攻撃を見極められずに負けてしまう!
「なーんちゃって、てへっ☆」
 僕は満面の笑みを込めて、年下っぽさをアピールした。これでミサキも「かわいーーっ!」とか言って、機嫌を直してくれるに違いない。
「てへっじゃないわよっ、このスケベ!!」
「うわっ!!」
 とりあえず包丁が飛んでこなかっただけでも救いといえよう。しかし、その代役として僕に飛来した物体は、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、カレーのルー、ボール、卵、キャベツ……。あきらかに致命傷になるだろう圧力鍋や何かが飛んでこなかったのは彼女の優しさ?
 さて、僕のお茶目な行動は、彼女の怒りを静めるのに何の役目も果たさず、結局僕は彼女の渾身の攻撃の前に屈し、今はソファーで横になるのだった。それから何とか怒りの静まった彼女は、カレー作りの続きに取りかかり、僕はリンゴの直撃にふくれあがった額を濡れタオルで押さえつつ、じっとした。
 カレーができあがり、お互い無言のままで、この日は過ぎていった。
 この日だけで、すめば良かったのだけど…。


2000/04/17 (月)
■開発者の苦悩手帳(でっちあげ)

常に頭を悩ますWindowsアプリケーションの作成。
新しい技術を取り入れるか、既存の技術でなんとかするか。
多くの場合、新しい技術は、新しいハードウェアや、より高速なハードウェア環境が必要になることが多い。
それはつまり「実行環境を選ぶ」ことに等しく、より多くの人に使ってもらいたい場合には、選択できないことになる。
新しい技術は、クオリティの面からすると、当然取り入れるほうがいいだろうが、単純にそう割り切れないのが難しいところなのである。

逆に言えば、新しい技術を使う場合、それに見合っただけの内容とクオリティを持っていなければ、ユーザーは納得しない。開発者が手を抜くために利用する技術は、ユーザーにとっては何の魅力もないからだ。
そんなわけで、様々な比較検討及びトレードオフが行われた結果、既存の技術を用いた、クオリティ的に首を傾げるモノができあがったりする。
と言っても、それは手抜きをしているわけではないので、ごめんねーって感じだろう。


2000/04/16 (日)
■研究しているように見える、テキストの例(笑)

PS用 To Heartに見る各種工夫
1999/09/02 BOIS
latest update 1999/09/04
-------------------------------------------------------------------------

■立ちグラフィックの高速表示

立ちグラフィックが、ロードなしで表示されることがある。
3〜6枚程度、メインメモリにキャッシュしている模様。
このゲームの立ち絵の大半は、160dots * 224dots * 8bitのサイズ。
立ち絵データの最大サイズは512dots * 224dots * 8bit。

横160dotsであれば、複数個VRAM上に乗せておくのも不可能ではないが。


■移動マップの表示

マップに使われている画像は、5画面分あるが、1度しか読み込みしない。
画像は、256dots * 224dotsと、512dots * 224dotsが用意されている。
どちらかが使われているらしい。
画面解像度を256*256モードに切り替えすべてVRAMに乗せるか、512ドッ
トの画像を5枚、メモリに読み込んでいる模様。

移動マップモードでは、「テキスト」の表示はできないようになってい
る。→フォント表示しない = 低解像度 ということか?

■セーブデータ

1ブロックに10個記録可能。(最低使用量1ブロック)
最初の1ブロックには、システムデータも含まれる。

システムデータには、CG、読んだ文章フラグなど、すべてで共有して使
われるものが保存されている。

 3ブロック使ったとすると、
  Block1.データ10個 + システムデータ
  Block2.データ10個
  Block3.データ10個
  の、合計30個のデータが保存できる。

初めて始める場合
システムをロード
汎用フラグの読み込み??
名前の読み込み(デフォルトネームの変更)
続きから始める場合
システムをロード
データをロード
保存時
システムをロード
プレイ中の汎用データをマージ
システムをセーブ
データをセーブ



■コントローラキー割り当て(デフォルト)

参考までにTo Heartのコントローラ割り当てについて

十字キー カーソル移動など
△ 忘れた
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2000/04/15 (土)
■HDDの片隅に放置された何年も昔の謎の文章

なぜだ!なぜ私の術が!

秀二、恐怖と絶望で人の心を支配しようなんて古すぎるぜ。
人はな、自分の意志で、自ら望んで戦う時、本当の力を発揮するんだよ。

マサト・・・。

友香、大丈夫か? あとのことは俺にまかせて、はやくここから逃げろ。

でも、マサトは?

あいつ・・・秀二を見てると腹の底からムカつくんだよ。
自分で何もしないで文句ばかりつけやがる。
ああいうアマちゃんには、きっちり勝負をつけておかないとな。

やめて!秀二くんは、今はあんなだけど、本当は違うんだよ!

そうかもな。でもな、友香。たとえどんな理由があろうとも、
おまえを恐怖のどん底に陥れたあいつだけは、絶対にゆるせない。

・・・マサト・・・。その気持ちはうれしいよ。私も本当に怖かった。
だけど、ひどいことはしないで。
私、マサトのこと良く知ってるから、これ以上何言っても無駄だと思う。
でも、それだけは約束して。

ああ、約束する。友香はすぐに逃げるんだぞ。

わかった。

フハハハ・・・
笑わせてくれる。この私の前で恋愛か?
まぁ、いいさ。あの小娘も、あちこちに仕掛けてあるトラップにかかっているだろう。

残念だったな。あいつはそんなトラップ、屁でもねーよ。
俺たちは、心が通い合ってるんだ。俺が生きている限り、あいつは死なない。

フ。おしゃべりはこれくらいにしておこう。
寛大な私もさすがに疲れる。


2000/04/14 (金)
■制約と自由

最近のゲーム機は高スペックでなんともかんともすごいの一言。
表現の自由が得られて、制約が少なくなった。
というのはどういうことかと言えば、制作者に今まで以上の責任を要求するってこと。

 たとえばRPG、ドラクエやFFなどで、中盤になると船や飛行艇とかが手にはいるが、それまで陸続きで行けるところも決まっていたのに、突然どこでも好きなところに勝手に行っていいよと言われるのに似ていて、しっかりとストーリーを追いかけて、マップも把握しているプレイヤーはいいんだけど、僕みたいに街の名前とか人の名前をまるっきり覚えられない人間だと、途方に暮れるわけです。
 自由を得るかわりに、適切な場所を自分で見つけなければいけない。という責任が発生したわけですなー。

 これは現実の世界でもやっぱり同じで、たとえば床屋で、「どうしましょう?」と聴かれるんですが、僕なんかはヘアデザイナーでもなければファッションに強い関心もないので、「どうって何よ」としか言えないのに、彼らはどうするかを聴いてくるわけですよ。基本的には「お任せします」と言いたいわけですが、お任せにして、モヒカンやらオールバックやらにされたらたまらんので、「じゃぁ、適当に短くしてください」とか当たり障りのない文句で誤魔化してしまうんですが、そういうのも、「お客様に自由を与える代わりに、お客様の責任を増加させる」わけですな。

 何でもしていいという自由っちゅーのは、それと同じ量の責任を負うわけで、なんというか、目的目標のない人にとって見たら、自由というのは最大の制約になるんじゃないかと。


2000/04/13 (木)
■うぐ…

ハルカ「ちょっとちょっと〜!」
*「…なんだよ…」
ハルカ「何? 虫の居所が悪いみたいね…」
*「ほっとけ。んで、何だよ」
ハルカ「…あ、んと…やっぱりいい。」
*「あ、そう。」
ハルカ「…機嫌、直そうよ…。何があったか知らないけど…さ。」
*「……」
ハルカ「あ……ごめん」
*「いいよ…。ハルカには関係ない」
ノゾミ「あ、ぼいすざ〜ん゛(T-T おびざじぶじでずぅ〜(T^T」
*「…はぁ…」
ノゾミ「あ、あの…その…。わ、わたし、な、なにか悪いこと、しましたか?」
*「あ、いや、ノゾミちゃんにも関係ない。大丈夫。」
ハルカ「なんか、機嫌悪いんだってさ。」
ノゾミ「そうなんですかぁ? 可哀相すぎますぅ(T-T」
*「い、いや、ホントに、何でもない、些細なことなんだよ」
ノゾミ「本当ですかぁ?」
*「ほ、本当だって。」
ノゾミ「本当に、本当ですかぁ?」
*「うんうん。本当だってば。あははは(^^;;」
ハルカ「にしては、引きつった笑いね…」
*「ほっとけ!」
ノゾミ「いつものぼいすさんらしくなりました。」
*「え?」
ハルカ「そうね。肩の力が抜けた感じ。」
*「あー、そういえば、なんか、気が楽になったような…」
ノゾミ「やっぱり、ぼいすさんは、そうでなくちゃ〜ですぅ〜」
*「ありがとな。二人とも」
ノゾミ「はいですぅ〜!ハルカちゃんも、喜んでるですぅ〜」
ハルカ「な、なによ…。あたしは別に…」
*「……?」
ハルカ「う、嬉しい…けど…」
*「え?何?」
ハルカ「何でもないわよ!」
*「そう。んー、じゃぁ、俺、寝るわ。」
ハルカ「あ、あれ? 連載モノは書かないの?」
*「あー、あれね。今日は書かない。んじゃー」
ハルカ「何よ。もう逃げ出すの?」
*「そう言う訳じゃなくて…」
ノゾミ「アクセス数が減って、焦ってるんですぅ〜」
*「(ぎくっ!)」
ハルカ「はは〜ん、なるほどね。」
*「な、なんだよ〜」
ハルカ「おかしいと思ったのよね〜。突然電話してきて『お前が必要なんだ!今すぐ来てくれ!』なーんて言うなんてねぇ…」
*「あははは…、な、なんの事かなぁ〜」
ノゾミ「わたしは『のぞみちゃんといっしょじゃなきゃいやなんだ〜』って言われました。」
*「あ、あは、あははは…いや〜。それは…」
ハルカ「はぁ…。まぁ、いいんだけどね。」
ノゾミ「私もかまわないですぅ〜」
*「あ、ありがとう…」
ハルカ「それにしても、ノゾミの性格は、また一段と変化したように思えるんだけど」
ノゾミ「気のせいですぅ〜」
*「気のせいだよ」
ハルカ「…そうかしら…ま、それもどうでもいいんだけどね」


2000/04/12 (水)
■最近の

 本日は管理人が睡眠不足ということなので、急遽、代役であるこの私、ハルカが、管理人の日常について書こうと思う。本来あるべき日記の姿にとりあえず戻してみよう。もっとも、本来日記は、本人が書くべき物だと私は思う。
 さて、各地から駄目人間のレッテルを貼られつつある管理人だが、今月に入ってから、さらにダメっぷりも加速推進中で、その勢いはまさにとどまることを知らず破竹の勢いだ。ほんの少し切れ目を入れてしまうと、あとはそのままサクッと割れてしまう竹。そんな例えがまさにぴったりなほどだ。
 管理人はゲームのお仕事をしているらしい。あえてここで「らしい」と付けるのは、実際にその仕事を見たことがないからである。もしかしたら、管理人は嘘偽り、他人を欺いて生きているのかもしれない。
 もし管理人の言葉を信じるならば、ゲームプログラマーの生活の一端をかいま見ることが出来る。

 さて、管理人は今月に入って立て続けにCDを購入。JungleSmileの「あすなろ」。これはまだ、すべて聞かれぬまま、床に転がっている。次に、ダメ人間まっしぐらの証、声優モノ。「恋泥棒三姉妹」といういかにもなそれは、桑島法子、石橋千恵、富沢美智恵の3名によるCDだそうだ(参考:パッケージ)。管理人はこのCDを聞くやいなや、
「ぐわぁーー、歌モノじゃないのかぁ〜!!」
 と、号泣し、これまたすべてのトラックを聞かぬまま、床に転がしてある。
 次に、ポップンミュージック・ボーカルベストを購入。これは通算2度、プレイヤーにかけられた後、ほとんど聞かれていない。
 次に購入した物件は、またもダメ人間な、機動戦艦ナデシコ続・お洒落倶楽部というCDだ。管理人はこの物件をいたく気に入ったらしく、毎日2度以上、すでに3日間かかさず聞いているようだ。

 さて、CDは以上の通りであるが、別の物件としては小説があげられる。
 管理人はここのところ仕事が忙しい……はずなのだが、どういうわけか、8冊の小説を購入し、すでに読書済みだ。またストックがあと2冊あり、購入予定があと1冊。おそらく管理人の人生始まって以来の猛スピード読書であり、記憶力のみじんも感じさせないチャランポランな管理人は、どんな内容であったか、まるで覚えていないに違いない。
 他に、雑誌もいくつか購入しており、MSDNマガジン、MSJ、日経ソフトウェア、DTMマガジン他、平均1500円する雑誌を複数購入している。ぱらぱらとめくった後、すぐに本棚に立てられているところを見ると、ほとんど読む気はないのかも知れない。
 目を引くところでは、月刊シナリオという雑誌があげられるだろう。何を意図して買ったのかは定かではないが、何か興味のある事柄があったのかもしれない。表紙には「ゲーム・シナリオ入門」という胡散臭いタイトルが上がっている。

 すでにプレイステーション2本体が2台は買えそうな勢いで驀進中の管理人。
 連日の読書に疲れてか今は静かに寝息を立てている。
 私は彼を見るたびに思うことがある。しかし、あえて多くは語らないことにしよう。

 さて、この通りの現状ではあるが、大きな変化がある。
 それは、日記ページのカウンタが、停滞していることである。
 一日平均15件を記録していたここ数ヶ月だが、ここ2〜3日は、平均8件まで減少。リピーターもついに飽きたのかと思うと、私とノゾミは気が気ではない。
 何ともはや、管理人の好き放題に荒らされた日記を見るたび、私たちの心は痛むのであった。

 以上、本日の日記、終了です。
 ご静聴、まことにありがとうございました。


2000/04/11 (火)
■第12回 くふぅ。そろそろ展開させたい。

「そ、そんなこと、出来るわけないじゃない!」
 ミサキは顔を真っ赤にして叫んだ。
「いや、まだ何も言ってないけど…。」
 今僕たちが乗っている宇宙船は、型落ちまっしぐらの旧式である。電源供給も、水素と酸素の燃料電池なので、電気を発生させているだけで水はドンドンと作られる。そう言う意味では水はそれほど貴重というわけではない。ただ、そのようにして出来た水というのは、飲料水や、シャワーなどの生活用水として利用される。
 純粋にただ捨てるだけの水というのは、人間の体から排出された余分な水分だけだ。もちろん、この余分な水すらも宇宙船はきれいに濾過して飲料水に変化させることが出来るが、多くの人が生理的に受け付けないため、リサイクルには回されていない。
 とはいえ、ただ単に尿を宇宙船から放出するだけでは、推進力を得られるはずもなく、真空の宇宙に吐き出した瞬間、一気に冷却されたそれは一筋の氷の筋になるだけだった。10年前事故によって宇宙をさまようことになった宇宙船は、その材料にある化学反応を起こして、推進剤に変えたのだ。
「…それって、その……は、恥ずかしい事じゃないでしょうね?」
 沈黙を続けた僕に、恐る恐るミサキが尋ねてくる。どうやら、勘違いをしているらしい。
「何を想像してるかは知らないけど……、純粋に推進剤として使うってだけだよ…。」
「でも…」
「いや、実際、ぶっ飛ばせるだけの推進剤が他にあれば問題ないんだけど、残念ながらそれ以外に考えられないから。」
「…ど、どうするの?どうすればいいの?」
 まだ顔のほとぼりがさめない彼女の顔は赤い。
「どうする…って、そんな化学プラントは僕の宇宙船にはないから、無理なんだけど…」
「は?」
 尿を推進剤に変えてしまうような……それはつまり、水を水素と酸素に分離するのと同じ事で、そんな大それた設備が、この型落ち宇宙船にあるはずもない。
「…それって、要するに、私をからかってる…ってこと?」
 彼女の眉間に軽い皺が寄り、なおいっそう赤くなっている。恥ずかしいのか…いや、単に怒っているのか…。おそらくは、後者だと思うが…。
「だね。面白かった?」
「面白くないわよ!いい加減にしてよね!そんなこと考えてる暇があったら、何もない格納庫とかゴミを捨てるとかして、自重減らすくらいしてよ!ただでさえペイロードの小さそうなこの船に、ごちゃごちゃとモノを詰め込み過ぎなのよ!さっきだって、浮かんでたバーナードに頭ぶつけてさんざんな目に遭ったんだから!」
「…どうりで。そのたんこぶはその時のか。」
「あっ…。ほ、ほっといてよ!」
 彼女の額には大きなコブが一つ出来ていた。もともと重力コントロールを切るつもりがなかったので、積み荷を厳重に固定してなかったために、細かい荷物が船内を浮遊していた。彼女のコブを作ったバーナードは、航行中の暇つぶしにと積んでおいた、ゲーム機だ。
 そもそも宇宙船は娯楽要素がほとんどない。単純に宇宙に飛び出す機関と、人の命を守る機能が付いた箱なので、暇つぶしの道具を持ち込まなければ、おそらく発狂してしまうことだろう。
 しかし、バーナードにコブを作るほど派手にぶつかったと言うことは、おそらくかなり激しく回転したに違いない。想像しただけで顔がにやけてくる。
「な、何よ、何がおかしいのよ…」
 腹を抱えて笑ってしまうのをぐっとこらえて言った。
「ま、自重を減らすってのは、現時点では少なくとも一番現実的な意見だろうね…」
「分かってるならやりなさいよ!」
 宇宙船を軽くして、その質量を減らすことが出来れば、少ない推進力で多くの速度を稼ぐことが出来る。
「でも、さっき、20分もスラスター点火しちゃったしね…」
 おかげで、燃料の残りもいよいよレッドシグナル点灯というところか。残り4割は残っているモノの、これだけでは身動きすらとれない。
「…あきれた。もう少しちゃんと考えてると思ったんだけど。」
「無茶言うなよ。大学で宇宙学を専攻してたわけでもない僕が、どうしてこんなところで危機管理出来るって言うんだよ…。それより艦長の娘であるミサキのほうが、適任じゃないかと思うんだけど。」
「この船のリーダーはあなたでしょ…。それに宇宙恐怖症の私にできるわけないわよ。」
 彼女のトラウマである宇宙恐怖症、とりわけ彼女の場合は船外活動恐怖症のようだが、その大半は幼い頃の体験によるところが大きい。彼女の口からはまだ何も語られていないが、彼女もまた何かしらの出来事を経て、宇宙空間が嫌いになったのだろう。そう考えると、今こうして宇宙船に乗っていることが奇跡とも思える。
「そういうこと、自分で言うかな…。」
「で、どうするの?まさか、本当に打つ手はないの?」
「いや、それはこれから考えようと思って。とりあえずミサキがあんまり怖がるから、こうやってリラックスムードを作ってみたんだけど。」
 軽い気持ちで言ってみたが、彼女に激しくしかられた。
「そんな冗談やってなくていいわよ!だいたい何よ!私の方が年上なんだから!」
「だったら、それらしくしゃきっとしてよ、お姉ちゃん☆」
「…はぁ…。駄目ね、私も。イクトのその顔見ると、なぜか心底怒れないのよね…」
「おねえちゃーん☆」
 これ見よがしにと甘えた声でミサキに飛びつく。
「こんな時だけ弟のフリをするな!」
 でも実際、こうやって気を紛らわせていないと、自分の死がちらちらと目の前を横切ってしまう。だからこそ、こうして無駄にはしゃいで気力を蓄えている……というのは、自己弁護にすぎないのだろうか。


2000/04/10 (月)
■4680

 さて、物語もようやく序盤を迎え(マジ?)、壮大なスペースオペラが展開されているわけですが(嘘)、本日の連載はお休みです。
 明日以降にご期待ください(誰も期待していません)

 連載は僕の気が済むまで永久に続けられます(やや嘘)。
 職業が物書きではない上に、そんなにうまくもないのでどしどし「つっこみ」メールをお待ちしております。宛先は こちら です(笑)
 念のため言っておきますが、科学考証は一切されておりません。現段階でいくつかの間違いが認められています。「アホなこと書いたな」と思うくらいの大規模なものから、些細なものまで。そんな、アホなところをあら探ししながら読むのも楽しいかもしれません。

 足音が大きくなってくる。扉を開けてハルカが入室。壁に片手を置いて、がっくりとうなだれながらため息。
ハルカ「はぁ…アンタもいい加減に大人になりなさいよ」
僕「ん…?」
ハルカ「やっぱり…」
僕「……」
ハルカ「自覚症状はない訳ね…」
僕「…?」
 ぐっと顔を上げて勢いよくまくし立てる。
ハルカ「面白くもない長文を読まされて、こっちは迷惑してるわけ。わかる?」
僕「面白くないかなぁ。へへへ。」
ハルカ「へへへ…じゃないでしょ! アンタ、まさかコレが面白いとか何とか思ってるわけ!?」
 つかつかと僕の方へ向かってくるハルカ。
僕「な、なんだよぅ。いいじゃないかよぅ。」
 ぐっと胸ぐらを捕まれて
ハルカ「アンタねぇ…」
僕「痛いよ…放してよ」
 すぐに手を放して背を向け
ハルカ「いい加減にしないと、友達なくしちゃうよ?」
僕「…う……ん…」
 くるりとターンして僕の方に向き直り
ハルカ「ま、アンタが楽しんでいるなら、それでいいんだけど…」
 満面の笑顔とともに
ハルカ「楽しんでるの?」
 笑顔で返す。
僕「うんっ!」
 急にまじめな顔になって
ハルカ「…そう」
 寂しそうな顔でうつむいて
ハルカ「…わかったわ…じゃぁ」
 再び背を向け
ハルカ「私たち、これでお終いね…」
僕「えっ?」


2000/04/09 (日)
■4669 第11回 ああ、スペースオペラにはほど遠い…当てずっぽう理論(笑)

 おおよそ半日に渡る船内探索から戻ったミサキは浮かない顔をしていた。
「最低限必要なモノ以外、ホントに何も積んでなかったわよ」
「…予想通りか…」
 宇宙船の航行計画は、地上で準備して、地上で検証し、まったくその通りの航行をするだけというのは、宇宙船が個人レベルで動かせるようになり、船そのものの性能が上がった今でさえ基本的には変化していない。大半の個人利用者は、宇宙船がどういう原理で空を飛び、宇宙を越えていくのか、全く知らない。
 宇宙船の操縦に関する免許には、いくつかの種類があった。僕とミサキが取得しているのは、宇宙船を手動で操作できる最低限の資格である「宇宙船普通航行免許」。各旅行会社からのツアーパッケージ通りの航行をインストールして、自動運転開始のボタンを押すだけの資格が「宇宙船代行運転免許」。その上の特殊免許は、宇宙で仕事をするプロフェッショナルが何年もの実践を経てようやく取得できるもので、一般の人間にとってはほとんど関係がない。
 宇宙空間での飛行は、純粋な物理法則にほぼ100%拘束されるため、大気の状況や、温度、重力、摩擦、そのほか、互いに干渉しあうような現象が地上に比べて圧倒的に少ない。燃料を使えば使っただけ船は加速減速するし、少しでもスラスターの使い方を誤れば、宇宙船はぐるぐると回転を始める。そうならないように、地上で出来る限り綿密な計画を立て、その航行スケジュール通りにきっちり空を飛ぶことになる。
 また、有限の燃料が意味もなく使われないように、空に出る前には出来るだけ船を軽くするのも常識的に行われていた。自重が重い船は、加速減速や、姿勢制御にも大量の燃料を消費するからである。不必要なものは、持ち込まない方が推進剤の減少を抑えられる。
「居住ブロックにめぼしいものがないのはいいとして、この船倉にも何もなかった?」
 僕が地上で見慣れていた船倉には、常に何らかの装置が取り付けられていた。
「ええ。見事なまでに、ガラガラだったわよ。非常用のパーツがいくつか置いてある以外はね」
 非常用のパーツとは、各種計器や無線など、細かな代替部品が大半で、さすがにエンジンの換えがあるわけではない。
「そうか…。じゃぁ、ほとんど現状と変わらずと言ったところか」
「そうなるわね。ところで、イクトの方は、何か分かった?」
「一応、過去20年間の航行記録を洗ってみたんだけど、これだけ離れた空域に飛び出してしまった宇宙船の記録はなかったよ。とりあえず、一つだけ参考になりそうな事故があったから、それだけはピックアップしておいた。この船が出来たのとほとんど同じ頃、今から20年前に、今の僕らと同じような状況に落ちた船があった。これなんだけど…」
 ディスプレイに目を戻し、事故記録を呼び起こす。マルチファンクションディスプレイが複数のウィンドウで分割され、その当時の状況が投影される。
「2隻の船がほぼ並行して惑星探査に飛び立って、1ヶ月後に先行していた一隻のエンジンが故障。その一隻を破棄して、後続する船に乗組員を移行させた。」
 ディスプレイに映るデルタマークが一つになる。
「どうなったの?」
「この2隻の乗組員は、それぞれ5名ずつ、計10名だったんだけど、定員6人の船に、一気に10人が乗り込んだから、空気清浄でトラブって生還できたのは10名中の2名。」
「え?」
「人間は息をしてるだけで有害物質を吐き続けるから、空気は淀んでいく。乗組員10人いる宇宙船の定員は6人だから、洗浄装置が間に合わなくて、結果として毒ガスにやられたって事になってる。助かった二人は、他と隔離されていたパイロットシートに座っていた操縦士だったから、助かったらしい」
「…そう。それで、その事故が私たちにどう関係があるの?」
 さらにキーボードを叩いてウィンドウを重ねる。
「まず、この船は、超遠距離にある惑星の探査が目的だったんだけど、その途中に起きたトラブルで、急遽先行する船の人員を助けなきゃならなくなった。先行する船はエンジンが暴走して、微力推進を続けていたから、追いつこうと思ったら後続の船も加速しなきゃならない。それで、検討の結果、すぐに追いかけることにした。」
 画面上の船2隻が加速を始める。
「当然、追いつこうと思ったら前の船よりも推進剤を大量にぶち込む必要があるからそうしたわけだけど、救出後にチェックしたら、燃料計に表示される数値より、実際にタンクにある燃料の方が少なかった。」
「…どういうこと?」
「燃料計が故障していたか何かだと思う。要するに、助けたはいいけど、地上に帰るだけの燃料が残っていなかったってこと。」
 この手のトラブルは、実際、後を絶たない。燃料は他の荷物より優先して積載され、さらに予備タンクも付けているにも関わらず、途中の計算ミスや故障でその通りには行かない事の方が多い。
「…でも、二人は戻ってきたのよね?」
「うん。あるものを、推進剤のかわりにぶっ飛ばしたんだそうだ…。」
「あるもの??」
 うんとうなずいて、僕は答えた。
「尿」
「は??」
 狐につままれたような顔をするミサキ。
「だから、おしっこだって。」
 一瞬、何のことか理解できないミサキは、話を飲み込むのに数秒掛かった。話を理解するに従って、顔が赤くなってくる。
「……えええええっ!!」


2000/04/08 (土)
■4658 第10回 おりょー。もう10回かぁ。行き当たりばったりにしては続くなぁ

「わ、忘れてた…」
 僕はミサキの視線をごまかすように逃げながら、話を始めた。
「よく考えたら、呼吸用の酸素は、船内で洗浄循環してるんだったよね…。だったら、酸素に関してはもっと長期間もつと考えても差し支えないと思う。」
 まるで無関係な話しにすり替えられて、不満そうなミサキはすねたような顔になった。
「だって、どうせ助からないんでしょ?」
「そ、そんなことないって。ほ、ほら、よく言うじゃない。望みを捨てたら、助かるモノも助からないって…」
 宇宙旅行が一般的になってからも、宇宙では、突発的な事故が後を絶たない。中には、今の僕たちの状況のように、100%生きて帰還することが困難な事故も多くあった。そこから何とか帰還を果たした人たちは、8割以上が「自分は助かる」と思っていた人だと、父さんに繰り返し聞かされていた。
「じゃぁ、どうしろって言うの? 光速まで加速できるロケットも、超長距離航行用の設計も、ロケットの搭載もされていないこの機体で、どうやって帰還するの? ねぇ!」
 そして、多くの場合、宇宙で乗組員同士が互いに信頼できなくなったとき、そのチームは崩壊する。
「ミサキ!落ち着いて!」
「落ち着いてるわよ!」
「確かに、僕たちは今、危機的な状況にあることは間違いない。だけど、だからといって悲観するのは早すぎると思うんだ。まだ、やれることの1割もやってないでしょ?この船に、もしかしたら何かあっと驚くような装置が積んであるかもしれない。この近くに、人間の乗っている船があるかもしれない。そういう可能性を全く調べもしてない。だから、まずは生き残るために、やれることをやっておこうよ。幸い、二人とも動けるんだし。」
 ミサキの動揺が少しずつ収まり、僕の話にも耳を傾けてくれるようになった。
「僕の言うこと、何か間違っているかな…」
 暗闇に放り出された子猫は、ゆっくりと首を横に振った。
「…そうね…。」
「じゃぁ、ミサキには、この船の中を徹底的に調べて欲しい。僕がやってもいいんだけど、中途半端に船の中を把握してるから、思わぬ見落としがあるかもしれないし。それにミサキにも、この船の中のことを知っておいて欲しい。これから長期間生活することになるから。」
「うん。…イクトは、どうするの?」
「僕は、船のデータバンクで、過去に同じような事故がなかったかを調べてみるよ。その時の対処法が、役に立つと思うから。」
「わかったわ。じゃぁ、早速、調べてみる。」
「お願いするよ。重力コントロールはどうする?船内活動はやりやすくなると思うけど、骨が弱るのを覚悟しなくちゃいけない。この船にはろくなトレーニング機材が積んでないから、二本足で地上に帰るつもりなら、このままの方がいいかもしれない。」
 僕の軽い言葉が、ミサキの顔を明るくした。
「そうね、私たちは、自分の星へ帰るつもりだし、できればこのままがいいわね。でも、船内活動の間だけ、重力コントロールを切ってくれると助かるわ。なるべく、慣れておきたいし。」
「分かった。じゃぁ、そうする。」
 ソーサーのメニューを開いて、重力コントロールを切る。自分の体を押さえつけるものがなくなって、ふっと軽くなる。
「重力コントロール、解除完了。」
「体が軽くなったわ。私って、こんなに軽かったのね。」
「油断しないでね。気を付けないと、筋肉ばっかりやせ細ったのに、体重は元のまま、何てことになりかねないから。」
 軽い冗談を言いながら、二人で笑いあった。
「じゃ、船内探索、行って来るわね。」
 ミサキは背伸びをする格好で、床を軽く蹴り、宙に浮く。
「あ、それともう一つ。パスワード付きの錠の掛かっているところは、エアロックだから、外に出るときは部屋の向こうの気圧をチェックするのを忘れないで。いきなり開けて宇宙船が爆発してもらったら困る。」
「気圧が違ってても開けるような旧世代のロック使ってるの?」
「いや、冗談だけど。分からないことがあったら、些細なことでも聞いてね。」
 やれやれと言った感じで肩をすくめながら、ミサキは微笑む。
「OK。ご指導のほど、よろしくお願いします。イクトさん。これでいい?」
「上出来。じゃ、行ってらっしゃい。」
「行って来ます」
 僕たちの、生き延びるための行動は、始まった。


2000/04/07 (金)
■4648 第9回

 数回に渡る衝撃波が、二人の乗る船を直撃した。音のない宇宙空間では、何の前触れもなく衝撃波が伝わってくる。その波を捉えた宇宙船は、ミシミシと音を立てて軋むのだ。
「…お、収まった??」
 ミサキが恐る恐る顔を上げる。はたと気づくと二人して抱き合っていた。それに気づいたミサキがさっと身を離す。
「と、とりあえず、船、動かさない? こんなところで止まっていても仕方がないわ。」
「あ、ああ、そうだね。そうしよう。」
 ぎこちない会話に気まずい沈黙。何にせよ、このまま見知らぬ空間に浮かんでいても仕方がない。

「20分間、スラスターを点火する。それで、行けるところまで行ってみよう。」
 今乗っている船は、僕が生まれるよりも前に造られた、時代遅れの船だった。当然、プラズマ推進でも、対消滅推進でもない、時代錯誤も甚だしい化学ロケットだった。今までの度重なる事件のせいで、かなりの燃料を消費してしまったため、連続運転に耐えられるほどの余裕は残されていない。
「どのくらい保つの?」
 難しい質問だった。化学ロケットは、物質の燃焼によってその推力を得るため、その化学反応にはどうしても酸素が必要になる。
「いや、燃料はほとんど気にしなくてもいいと思う。現在地も分からないから姿勢制御用スラスターを使うこともほとんどないだろうしね…。」
「……」
「むしろ問題なのは、どこまで生き延びる準備をするかってほうかな。残りの食料が、二人で6ヶ月。酸素や水は3ヶ月ってところかな。スラスターを一切使わなければ、水と酸素は軽く見積もって、更に3ヶ月くらいの足しになる。」
「じゃぁ、うまく行けば半年間は生き延びられるわけ?」
「重力コントロールと、サブコンピュータとかの補助動力をカットして、酸素供給量を通常より低く設定すれば、もう半年、先延ばしにできるとは思うけど…」
「思うけど……?」
「その場合は、僕らはほとんど何も行動できなくなる。意識を失う一歩手前の状態を持続させることになるからね。生命維持に最低限必要な酸素供給だけにするのは、特に危険だと思う。だから、僕はやりたくない。」
 自分だけならともかく、ミサキにそんな状態になって欲しくない。
「だけど、そうすればもしかしたら助かるかもしれないんでしょ?」
「望みは薄い…乱暴に、確率でいうなら、例えそうしても限りなくゼロに近いと思う。人間の活動圏内にこの推進力だけで到達するのに、一体何年掛かるか…」
 ミサキの船から得た情報によると、今僕たちがいる空間は、元々いた場所から何億光年も遙か彼方だ。この船の推進がラムジェットや光子・反物質ロケットならともかく、化学ロケットだけとなると、満足な速度を得られない。
「じゃぁ、じっとしていて助けを待つってのは? イクトの家族も、きっと心配して探してくれてるんじゃないかな?」
「例え探してくれてるとしても、場所が分からないことには手の出しようがないし、この付近にはバニシングリングはまだ建造されていない。人間の勢力拡大図にあわせて見ると、ここまで人類がその生活の場を広げるのに約5世紀必要になるから…」
「もう、助からないとでも言うの……」
 ミサキの声から力が抜けていく。
「そんな…。私、まだやりたいこといっぱいあるのよ? おいしいものだって食べたいし、友達と笑っていたいし、それに、彼氏だっていないし…」
「僕だって、それは一緒だよ…。だけど、どうしようもないでしょ? この状況で、他に何か打つ手があるなら、とっくにそうしてるよ」
「じゃぁ、この海域に生物が住めるような地球型惑星はないの??」
「…残念だけど、一番近い恒星でも、100光年以上離れてる。これだけ離れてると、生物は存在できないよね…」
「そっか…。じゃぁ、私たちは、あと半年で、消えてなくなるのね…」
 残酷な結末だ。まだ人生の半分もろくに生きていないと言うのに、誰も知らない土地でひっそりと消滅する…。
「僕がミサキの彼氏じゃなくて、悪かったね。ははは…」
 乾いた笑い。自暴自棄にならないですんでいるのが不思議なくらいだった。
「…私は…イクトでもいいよ…? イクトは…私じゃ駄目?」
「えっ?」
 僕の目の前に、彼女の潤んだ瞳があった。何かを求めるような視線だった。


2000/04/06 (木)
■4632 第8話

 結局のところ、僕たちは思いもよらない未開の地までやって来ていたわけで。
「絶対座標、95α、352、23θ、なんだよコレ…」
「け、計算ミスじゃない? うん、きっとそうよ!」
 僕はこの計算に絶対の自信を持っていた。静かに顔を横に振る。
「じゃぁ、私の宇宙船、きっと壊れてるのよ!」
「可能性がないわけじゃないけど、それは考えづらいよ。取得したデータがリアルすぎる。」
「でもこの短時間に、これだけの距離を飛んだって事? その方があり得ないわ!」
 確かにそうだった。光の速度で延々跳び続けても、絶対に到達できそうにない遙か彼方の場所だ。僕たちは今、人の全くいない空間にいるのだ。
「あ、バニシングリングを通っちゃったんだ。そうよ。きっと、私たちが知らない間に、天然のバニシングリングを通っちゃったのよ。」
「いや…それもあり得ないよ。バニシングリングは空間がきわめて安定していないと存在できないんだ。それが天然のものならなおさらね。天然で出来たリングは、5分とたたずに自然消滅するのが普通だし、こんな大きな宇宙船を丸ごと時空移動させるなんて、絶対無理だよ。」
「でも、もしかしたらその偶然が起きたのかもしれないじゃない。宇宙では何が起きるか分からないし。」
「じゃぁ、証拠を見せるよ…。」
 そしてソーサーを叩く。
「知っての通り、バニシングリングの中心からは、強力なγ線が放射されてるわけだけど、僕たちが飛んできた数日のログを見ても、そんな現象は起きて……る…。嘘だろ!?」
「ほら、やっぱりそうでしょ!? ねぇっ、早くリングに戻りましょ!」
「…そうだね…」
 リングは基本的に特定の2点間を結ぶ時空移動空間なので、出てきたところに再び飛び込めば、元いた空間に戻ることが出来る。僕はγ線の軌跡を求めて、あわててソーサーをタイプしてみた。
「どう??」
「だめだね…。もうこの付近の海域からは、γ線を検出できない。ほんのわずかなモノが、君の船から出てるだけだ。」
 SpaceEquipment社の最新船は、そのエンジンに対消滅タイプを搭載している。しかし、本来ならγ線なんて、出ないはずだよな…??
「ちょっと待てよ…。もし、君の船のエンジンが暴走させられるとしたら、そこに人工のバニシングリングを作り出せるかもしれない…。γ線が出ているとしたら、可能性はあるぞ。それに今僕らがここにいる理由も説明が付く。」
 つまり、僕たちは、知らない間に彼女の船が造り出した、天然のバニシングリングを通過して、今この場所にいるのかもしれない。
「良くわかんないけど、帰れるの?」
「計算してみるよ。」
 ソーサーのサブスクリーンをなでて、計算式を呼び出す。バニシングリングの安定物質を生成するには、莫大なエネルギーが必要になる。
「…君の船のエネルギー残量、あと、漏れだしている燃料の量から計算すると……このエネルギーの消費の仕方は普通じゃない。バニシングリングを一度生成したと仮定すると、確かに今の残量はぴったり一致するんだけど…」
「やっぱり、バニシングリングが出来ていたのね…」
「うん。だけど、もう一回リングを生成するには、エネルギーが足りない。さっきの放出で質量も小さくなってるみたいだから、理論的には、奇跡でも起きない限り、無理だね…」
「…じゃあ…私たち…助からないの?」
 彼女の重い一言に、僕は明るく答えられない。
「ごめん。無理だ…」
「……そっか…。でも、噂が本当なら、イクトは私の魂を救ってくれたんだよ。それだけで、十分。」
「え?」
「…知ってるでしょ? バニシングリングの噂。リングが生まれるときに、その中心にあった物質は、次元の狭間に閉じこめられて永遠に抜け出せない…。時の止まった何もない空間で、永遠に死ぬことはない…って。」
 僕は何も言えなかった。
「でも、その危機を、突然現れたイクトが、助けてくれたって事でしょ? それだけで、私は十分。だって、一人じゃなくなったんだもの。こんな寂しい空間で、ひとりぼっちだったら、私、絶対に耐えられないよ…。」
 音のない宇宙空間で、静かに時が進む。
「…でも、イクトにしてみたら、私さえいなければ、こんなところに来なくてすんだんだよね…。」
「え? そんなこと、思ってないよ。どっちにしたって僕は迷子だったわけだし、僕だってこんな宇宙で一人ってのは嫌だから、ミサキの声がしたとき、嬉しかったし」
 落ち込みすぎの彼女を、本音でフォローする。紛れもない事実。下心で通信に応じた僕が居たことを、否定は出来ない。
「…ありがとう。…イクトって…その…、優しいね…。」
 耳まで真っ赤に染めたミサキの表情を見て、僕の心拍数は一気に増大する。痛いほどの静寂で、この鼓動が彼女の耳に届くのではと思うほど、僕の心臓は激しく血液を送り出した。
「イクト…」
 目を閉じた彼女の顔が、僕の目の前に迫る。その小さな唇に吸い込まれるように、僕も前に出る。
「ミサキ…」
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
 唇と唇が触れるかと思った瞬間、僕らの乗る船が大きく軋んだ。とっさにコンソールに目をやった。
「衝撃波だ!! 第2波、第3波、来る!!」
 遠くで何かが光る。それは紛れもなく、彼女の船が沈んだ証だ。


2000/04/05 (水)
■4621

 筆者取材のため、本日はお休みを頂きます。

 て、取材するんじゃなくて、されるらしい。つーてもチーム全員なので、あれだけど。んぐうぐ。床屋に行ってない。けっこーボサボサよ? とか思ってたら、企画者である先輩はちゃっかりきれいになってるし〜(笑)
 さてはて、明日はどうなることやら…。んぐー。


2000/04/04 (火)
■4612 第7回 気づけば連載一週目…

「右舷後方に動体反応あり。速度、質量から換算して……間違いない、ミサキの船だ。距離、約1万2千。この距離ならかなりの信頼性で通信を行える。」
 入れたばかりの紅茶を楽しみながらミサキはクッキーを食べていた。
「はいはーい。じゃ、イクト君よろしくね〜」
 あの後も、お姉さん気取りとなった彼女は、自分の話をし続けた。
 彼女は、先の宇宙大戦で戦艦ヤマモトを指揮した艦長の娘だそうだ。僕は人と人とが無益な争いに興じるのが嫌いだったので、その大戦のことはあまり見ないようにしていた。戦争と言っても、自分の住む星からはるか離れた遠い宇宙空間で行われるそれは、情報さえ入らなければ何も起きていないのと同じだった。まだ兵役の義務を課せられない未成年だった僕は、何の支障もなく学生(と言っても小学1年生の)生活を過ごすことが出来た。もちろん、僕の父さんはその戦争にパイロットとして出兵していた。もっとも、元々軍人だった父さんには当然課せられる使命だったけれど。だから年に数回しか、父さんを家に帰してくれない戦争を、僕は嫌っていたわけだ。
 その宇宙大戦が、何を賭け、何を求める戦いだったのか、父さんはどんな目的で戦闘にかり出されていたのか、今になってもその理由すら知らない僕ではあったが、彼女の話す宇宙船「ヤマモト」の事は、知っていた。
 その戦艦が数世紀前の大型戦艦「大和」を模したものだからでも、今大戦でもっとも大きな戦果を上げたからでも、生き残ったわずかな戦艦の一つだからでもない。その宇宙船「ヤマモト」のエースパイロットとして乗り込んでいたのが、紛れもない、僕の、父さんだったからだ。
 宇宙船ヤマモトは、超弩級艦ヤマモトとして知れ渡っており、他を圧倒する火力と推進力と機動力というそれぞれ相反する性能をすべて備えたダイナミックな建造物だった。当時まだ実用化されていなかったプラズマ推進エンジンを搭載し、超長距離・低燃費航行が出来る唯一の船だった。資源の乏しい宇宙空間で激しい機動力を見せられたのは、必要なときに必要なだけの燃料を、バカみたいに燃費の悪い主機関に送ることが出来たからだと、評論家の意見は一致している。瞬発力に優れた化学ロケット…ただし秒単位ですさまじい燃料が必要になる…と、持久力に優れたプラズマロケット…プラズマ化した推進剤を電気加速して噴射する効率のいいロケット…を積んでいなければ、この瞬発力は出せなかっただろう。
 そんな僕の思考を知ってか知らずか、彼女は相変わらず話を続ける。
「でね、でねっ! そのパパの船に、とびきりすごいパイロットがいたんですって!!」
 その後、僕は延々と自分の父さんの話を聞かされることになった。自分の父親のことを褒めちぎられて、悪い気はしなかった。
「何よ…なにニヤニヤしてるのよ…」
「いや、何でもないよ。それより、予定通り始めたいんだけど」
「あ、そうね。お願いするわ。」
 ようやく作業に移った僕は、まず手始めにミサキの船とのコネクションリンクを開く。その後ダミーのコネクションを数億の単位で自動生成させて一斉に問い合わせ。その過負荷に耐えられなくなったコンピュータが「Busy」を吐く瞬間に流れる情報を、最初につないだ回線で監視して、取得。あとはそれに乗っているコードを解析して相手コンピュータのリモートアクセス用リンクポートを調べる。
 続けて予想されるパスワードを一気に数億ずつ送信。それを3msほど続けると、システムが異常を検出してパスワードを自動的に交換する。新しいパスワードはOSの機能をあちこちで使っているから、先に解析しておいたSpaceEquipment社のナビのOSからその生成ルールが導き出せる。後は徐々にパスワードの幅を狭めていくと、相手側コンピュータをこちらの支配下、つまりスレーブにすることが出来る。
 そこまで出来たらあとは、普通に回線をつないで、思うとおりに動かせばいい。
「あれ…そんなに簡単にできちゃうわけ??」
「…今までの作業工程をどうやってみたら『簡単』なんていう言葉が出てくるの? お・ね・え・ちゃん!」
 面倒な作業が認められなかった悔しさで、精一杯の反撃を試みる。
「だってぇ、おねぇちゃん、そういう電子戦にはよわいんだもの〜」
「ちぇっ。勝手なこと言ってらぁ…。宇宙恐怖症のくせに…」
 今でも思い出して思わず笑ってしまう。彼女が一人で宇宙に出た理由。それが宇宙恐怖症を克服するまで、家には帰ってはいけないからだったとは!!
「あ、思い出し笑いしてる!! ひどいっ!」
 そりゃぁ、大戦争を勝利に導いた宇宙戦艦ヤマモトの艦長の娘ともあろう人物が、宇宙恐怖症では笑い話にしかならないからね。
「いや、いいんだけどね。可愛いよ。おねーちゃん。あはは」
「いーくーとー!!」
 そう言って頬を膨らませるミサキは、やっぱりどう見ても僕より年下としか思えなかった。
「ま、どうでもいいけど。ほら、もうすぐここの絶対座標も分かるよ」
「やったっ!」
 いろんな意味で、姉にも妹にも見えるミサキは、ころころと表情を変える女の子だ。


2000/04/03 (月)
■4603 第6回

「予定航路に入ったわ。ここまでは問題なしね」
 ミサキは淡々と報告を済ませる。あれから数時間に渡る綿密な行動計画を立て、その後20回に分けて加速と進路変更を行ってきたこの船は、今、ミサキの船の後方をつかず離れずと言った距離を、軸をずらした状態で平行に進行している。そのまま通信が安定する距離まで加速し、計画を開始することになる。
「それにしても、面倒なルートを選んだわね…。もっと他に手はなかったの??」
「だからさっきも話したけど…」
「私の船の吐くスペースデブリ…宇宙ゴミ…を、避けながら飛行する目的もある…でしょ?」
 隣のパイロットシートにゆったりと腰をかけている彼女は、にっこりと微笑みながら僕の方を向いた。その時、はらはらと下に流れた髪を手櫛であげながら、彼女は首を左右に振った。白い肩のラインからうなじにかけての柔肌が、彼女の真っ赤なパイロットスーツの隙間から、チラチラと目に飛び込んでくる。
「あ、う、うん。」
「どうしたの? 顔、赤いよ?」
「な、何でもないよっ。」
 急に恥ずかしくなってうつむくことしか出来ずに、ぐっと握った手を膝の上に載せていた。
「何でもない分けないじゃない。病気かもしれない。熱は? 大丈夫?」
 見る間に彼女の顔が近づいてくる。
「ちょっちょっと!! こっちに来ないでよっ!」
 耳が熱い…。
「あー、それはお姉さんに向かって失礼ねっ!」

 そうなのだ!
 自分よりも少なくとも3つは年下だろうと思っていたミサキは、僕より6つも上の、23歳だった。その割には明らかに発育の遅い体と、どう見ても中学生のそれとしか思えない顔の作り、まさに「童顔」は、小学生だと鬼のサバを読んでも通用すると言うくらいのものだ。
「あー、今、胸見てたでしょ!!えっちー!!」
「そ、そ、そんな小さな胸見たって、う、嬉しくないよっ!!」
 あたふたとあわてながら、自分にとって十分に刺激の強い彼女を、必死に避けた。

「…ひどい……」
 それまでの彼女のトーンとは全く異質の、悲しそうな口調が聞こえてきた…。
「そりゃ、私は子供っぽく見えるだろうし、胸も小さいし、顔は童顔だし…魅力なんて、全然これっぽっちもないかもしれないけど……そんな風に言わなくたっていいじゃない…」
 うって変わって泣きそうになっている彼女に、ただぱくぱくと口を開けて反論することしか出来ない僕は、しばらく金魚を続けていた。
「なーーーんてねっ! うそうそ。じょーだんよ。冗談! まぁ、魅力ないのは認めるけど、これでも少しは気にしてるんだから、今後は気を付けてね。あはは☆」
 ますます口をぱくぱくさせるしかなくなった僕は、目を白黒させて彼女を見つめていた。
「あれ? 何? 私の体、見たかったの??なーんだ、そう言ってくれれば見せてあげるのに〜」
 そう言って、おもむろに赤いスーツの襟首をゆっくり下ろす仕草をするミサキを見て、ようやく僕は言葉を発した。
「いいよ、いい!! 僕が悪かったから、もう、許して。ごめんなさいっ!」
 訳も分からず謝るのが精一杯。完全に彼女のペースに飲み込まれたようだった。
「うふふ。かわいーーっ!!」

 こんな平和な会話をしているのも、航行計画上、若干の余裕があったからだ。その間にふと年齢の話題になって、あれよあれよという間に彼女は「お姉さん」へと変貌していったのだった。身の上の話はほとんどしなかった彼女だったが、僕よりも6つも年上と知って、それを延々と繰り返し続けたのだ。
 今まで女と言えば母さんだけの生活だったから、すごく、緊張した。

「あ、そろそろ時間よ。イクト、準備してね」
 この先の航海に、一抹の不安を感じる出来事だった…。


2000/04/02 (日)
■4590 第5回 (こーゆーのを、スペオペと言うらしい。ほぇえ!そうなのか!)

 パイロットシートに戻った僕は、ただただ頭を抱えて考えあぐねていた。宇宙船標準装備のレーダーはどれも真っ白。近隣の惑星もわからず、現在位置も不明。通販で買ったADPSMは相変わらず『N/A』を表示していた。乗組員が一人増えたせいで、食料や酸素の残量も、想定していたほど長くは持たない。
 どれくらい考えていただろうか。夜も昼も区別のない宇宙空間での長考。僕はずいぶんと独り言を言っていたようだ。
「…あの。」
 後ろから声がかかった。深い思考の中をさまよっていたのですぐには反応できなかった。思考の計算結果をあちこちの記憶領域に放り出しつつ、現実の世界に戻り、声のした方向へ振り返る。
 そこには、真っ赤な宇宙服を着た小柄な女の子が立っていた。腰まで届くような長い黒髪は、きれいに頭の後ろでまとめられていて、宇宙船の発生させる重力に従って下に垂れていた。彼女が歩くたびに揺れ動く細い髪に、僕は不思議に魅入られた。
 彼女は、東洋系の優しい顔だった。
「もう体の方は大丈夫?」
 ありきたりな台詞をどうにか口に出すことに成功。
「あ、うん。さっきは、その、ありがと。」
「いや、いいよ。どうせ僕も漂流してるところだしね…」
 はぁ、と深いため息をついた。
「それって、どういうこと?」
 僕は今、この船の状況を、あらいざらい彼女に説明した。食料、酸素、燃料の残り、現在位置がつかめないこと、進行方向や、そのほか航行に必要な情報が、まったく手に入らないこと。
 彼女の顔が、みるみる蒼くなっていく。
「…最悪ね。って、これは私が言うべき台詞ではないけれど…。」
「いや、いいよ。この装備で宇宙に出てきた僕が悪い。」
「はー、やっぱり宇宙に出るには最新鋭の機体がいいわね〜。私の船が使えたらなぁ…」
「そうだよねぇ。設備がまるで違うもんね…」
 僕は、そう言いながら、頭の隅に何か気になるものがあるような気がした。ミサキの船…?? 最新型??? あれが使えたら??
「そうだよ! ミサキの船! アレが使えればいいんだ!」
「そーんな、思いついたように無理な事言わないでよ〜」
「いや、無理じゃない。がんばれば、可能性はあるよ!」
「そうなの? それで、どうやるの??」
「そうだな、おおよその概要はこんな感じになるかな」
 言いながらソーサーのキーを片手ではじく。50インチのフロントスクリーンが空中に現れて、現在の船の様子が宇宙平面図に描画される。
「えっと、これが今の状況。座標はわからないから、何もない宇宙平面に浮いていると考えて。」
 そして、ポインタで仮の宇宙船を二つ浮かべる。
「こっちが、僕の船。で、こっちのが君の船。君の船はおそらく今も光速の約10%で落下中だから、ここから1AU先にいるはず。まだ、爆発していなければ…だけどね」
「もしかして、それにアクセスするつもり?」
 うん。と頷きながら続きを話す。
「まず、君の機体はSpaceEquipment社の最新マシン、そして、僕が持っているこのADPSMの小型ナビも同じくSpaceEquipment社マシン。おそらく最近のマシンには同じOSが乗っているはずだから、僕のこのナビを解析すれば、通信プロトコルとかアクセス手順は分かる。あとは君のマシンをこっち側から乗っ取って、遠隔操作する。遠隔操作するのは君の機体についているドップラービーコン。その情報をこっちに転送して、現在座標を取得すると、こういうことだ。うまく計画が進めば、目的のバニシングリングまで行けるはずだ。」
「そうか…そんな手があったんだ…。あ、だけど、遠隔操作なんて出来るの?」
「SpaceEquipment社から受け取ってから設定を何もいじってなければ、できるはずだけど、何かセキュリティ対策、やってる?」
「うん、ほとんどの記憶コアを通信ラインから隔離してる。外部から見えるのは、私の船の識別コードだけだと思う」
「それだと難しいかな…。ちょっと待って、調べてみる」
 再びソーサーにコマンドをタイプして、SpaceEquipment社のOSに関する記事のログを引っ張り出す。この辺は僕の趣味だったから、データベース化して保存してある。いちいちネットワークで接続する必要もない。
「あ、あったあった。大丈夫みたい。SpaceEquipment社のOSは、外部アクセスの部分にでっかい穴があるから、進入するのはそんなに難しくなさそうだ」
「他に何か問題があるの?」
「そうだな…。問題点は2つ、一つ目は君の機体がまだ健在である確証がないこと。二つ目は僕の船に乗っている通信機が、数世代前の旧型ってこと。この計画だと情報の欠落は、命取りになりかねないからね。」
「どっちにしても、急いでやらないと状況はますます悪くなる…ってことね」
「そういうこと。」
 二人は、すぐに今後の行動計画について、打ち合わせを始めた。


2000/04/01 (土)
■4586

 はっきり言って、死ぬほど怖かった。口の中はカラカラに乾いていたし、自分が何をすべきなのか考えるも、頭は真っ白だった。ただ、がむしゃらに、思ったことを即行動に移していただけだった。
「あと5秒でそっちに着く!」
 無我夢中だった。見ず知らずの人のために、何もここまですることもないとは思った。でも、僕には無視して先に進むほどの勇気がなかった。後で後悔して、助けておけば良かったなんて嫌な思いに苛まれるのは避けたかった。そして何より、女の子を、放っておけなかった。
「…あがあがあが…」
 後少しでミサキに手が届くと言うところで、僕はガチョウかアヒルの鳴き声を聞いた。宇宙空間にそんなものが存在するわけがない。この奇妙な鳴き声の主は…当然、ミサキだった。彼女は僕の目の前で突然体を弓なりに反らすと、ガタガタと震えだした。精神許容を越えたストレスによる全身痙攣か、それとも呼吸システムに何らかのトラブルが起きたか?
 何にしても、非常にまずい状況であることは間違いない。急がねば!
 僕はミサキの乗るSpaceEquipment社最新鋭の宇宙船に手を伸ばし、なんとか彼女の元にたどり着いた。
「安定空間は…あと20秒。小隕石接触までは、あと40秒…」
 すぐさま、全身を硬直させているミサキを抱きかかえ、自分の体と自分の船をつなぐ命綱を巻き戻す。来たときよりもいくらか速い速度で二人は宇宙空間を横切った。
「あと10秒…」
 すぐにハッチの扉を閉める。ゆっくり閉まる扉が歯がゆい。
『警告。ハッチに異物が混入。』
「おい! 嘘だろ!?」
 扉は閉まらなかった。見ると、ミサキの腰からのびたミサキの命綱が、彼女の船と繋がっていた。
「な…どうして気が付かなかったんだよ! くそっ。こんなもの、レーザーカッターでもなきゃ、切断できねーぞ!」
 どうする? どうする?
 激しく思考を活性化させて、対処を考える。命綱の解除は、基本的に本人にしかできない。その本人はさっきよりは落ち着いていたが、まだ全身を硬直させたままだ。
 ヘッドフィルターの警告は、刻々と減算される。接触まであと25秒。
 もうだめか…。諦めの思考に入ったとき、ミサキが自ら命綱を解除した。
「…ご、めん…ね…」
 意識が戻ったらしい。助かった!! じゃまな命綱を黒い闇に放り出して、ハッチを閉じる。すぐに空気を送り出し、気圧を平滑化。その間に、手元に光るコンソールパネルからオートパイロットのプログラムチェンジをする。
「緊急停止!」
 コマンドの登録の直後、僕はミサキの体を抱きしめた。その後、急激な停止によるGが二人を襲う。ヘッドフィルターに表示される警告が、瞬時に解除された。
 数秒に渡る減速で、ミサキは再びブラックアウトした。僕はその体を医務室のベッドまでつれて行った。

 彼女が目を覚ますまでに、やることが増えた。
 なぜなら、手動操作による軌道の変更で、現在位置が分からなくなってしまったからだ。



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